チェルノブイリへの旅 【⑤ツアー編】 CHERNOBYL TOUR

さて,ツアーの開始。

30km圏内に入るところで,いったんバスを降り,パスポートチェックを受ける。

f:id:AzusaKikuchi:20160512175030j:plainさらに10km圏内でもチェックは入るが,個人的にパスポートを見せるようなことはなく,怖そうな表情をつくった男性がバスに乗り込んできて,車内をざっと見渡すだけで終了。

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そこから発電所まで向かうバスの中から見える景色は,廃墟や枯れた木々,時々動物。

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要所要所でバスを降り,お家にお邪魔したり,モニュメントを見たり。
私は希望しなかったから放射線量を測定するカウンターは持たなかったけど(ツアーの申し込み時に予約すると,有料で借りることができる),持ってる人たちは,高い数値をたたき出しながらビービーなり続けるカウンターを見て笑ったり,うるさいって言ってスイッチを切ったり。

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家の中は,本当に生々しい。

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避難命令が発令され,ほんの少しの時間で必要なものだけをまとめて家を後にしなければならなかった。数日で帰れると思っていたけど,実際には二度と帰ることができなかった。

いつも遊んでいただろう人形や,ベッドわきに置いてある絵本,お気に入りだっただろうマグカップ…がその事実をありありと示している。

 

発電所は,今でも完全停止はできていない。
100年持つと言われている巨大シェルターも,巨大ゆえに,むなしく見える。
100年たったら,またその上から頑強なシェルターをかぶせるのかな。
壊すこともできない,埋めることもできない,
ただ厚塗りに厚塗りを重ねていくのみ。

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ひたすらひたすら廃墟を歩き続ける。
学校やマンション,ダンスホール,遊園地…

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廃墟を歩きすぎて,なんだか思考停止しかけてた。
今,何を見てるんだろう。
自分が何を考えているのかも,どう感じているのかも,わからなくなってくる。
ものすごい量の粉塵が,マスクもしていない口や鼻から入ってきて,息苦しい。
でも,息苦しいのは粉塵だけのせいじゃない。

 

たまらなかったのは,本や教科書をガシガシと踏みつけながら歩くこと。

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ここにあった生活を,容赦なく踏みつけてる自分たちが,恐ろしくなってきた。

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止まったままの観覧車。

時が止まってしまった街を象徴するかのように,そこに立ち続けてる。

 

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飛び出し注意の標識が,皮肉に目に映る。

 

ゴーストタウン。
でも,そんな街でも生きているものもちゃんとある。

赤いかわいい実をつけた木を見て,自分の中の止まりかけたものが少し動き出す。

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ランチはオプション。
せっかくだから,作業員たちが食べている食事をいただいてみたくて申し込んでいた。

建物の入り口で被ばく量をチェックして,中に入る。

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ガランと広い食堂。
一列に並び,サラダからスープ,メイン,パン,飲み物の順にとっていく。

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しょっぱいジャガイモのスープや,しょっぱいオムレツ,甘すぎるサラダやジュース。
甘そうなパン。

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味うんぬんではなく,
いろいろと見て回った後ではまったく食欲がわかず,
でも残しすぎるのも申し訳なく,重い口を動かした。

 

ランチ後は,旧ソ連の秘密基地にお邪魔した。

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どでかい↓これで,ミサイルを感知していたらしい。

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一日中歩き回り,17時ころになってツアー終了。
10キロ圏内を出るときに,全員被ばく量をチェック。

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何とも言えない表情の犬に見送られて,チェルノブイリを後にした。

帰りのバスでは,脱力感と虚無感と,その他ぐちゃぐちゃの心と頭を抱えながらぼーっと景色をみていた。

行きのバスの中ではわいわい楽しそうにしていた周りの人たちも,さすがに疲れ切って爆睡。感想を語り合う人はいなかった。

疲れもあるだろうし,すぐに語り合う言葉が見つからないでいるようにも見えた。

私自身,思考停止状態から抜けきっておらず,今こうやってブログを書きながらやっと考え始めている。

ということで,次回は思った感じた考えたことをつらつらと書きます。

おわり!